貴金属触媒

　当社では古くから水素添加技術を得意とし、反応で使用する貴金属触媒は1950年代に開発・製造がはじまり工業化に成功しました。弊社が製造する貴金属触媒は粉末活性炭にパラジウムや白金などの貴金属を担持した触媒で、医薬・農薬中間体から特殊化学品など、あらゆる水素化反応に使用されます。また、お客様のご使用条件に応じた触媒のカスタマイズ、自社工業設備による水添反応等の委託合成も承っております。長年に亘って蓄積された触媒調製技術及び水素化反応のノウハウを元に、最適触媒のご提案、効果的な触媒の使用法のご相談に応じます。

パラジウム炭素触媒（Pd/C）

パラジウム炭素触媒は触媒活性が高く、工業的な用途が他の貴金属触媒に比べ使用量、使用例が圧倒的に多い代表的な貴金属触媒です。適用される反応は広く、ほとんどすべての還元反応に用いられ、有機合成において重要な触媒です。特徴的な反応はアルキン・オレフィン、ニトロ基の還元、ハロゲンの水素化の他、水素化分解能が高いことが挙げられます。

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種類	担持量	概要	推奨水素化反応例
M型	5%, 10%	汎用型の水素化触媒。幅広い反応に高活性を示す。	オレフィン、ニトロ、アルデヒド、脱ハロゲン化
PH型	5%, 7.5%	多くの反応に活性が高いが、主に脱ベンジル化や核還元、オレフィン、ニトロ基の水素化に用いられる。	脱ベンジル化、核還元、オレフィン、ニトロ
AD型	5%	ろ過性に優れた触媒。高アルカリタイプであり、イミンの水素化、フェノール→シクロヘキサノンへの反応に有効。	イミン、核還元、オレフィン、脱ハロゲン化
MA型	10%	中性~弱酸性タイプの触媒。酸性側での反応に適し、核還元や水素化脱水反応等に使用される。	核還元、水素化脱水
EA型	5%	中性〜弱酸性で、表面担持タイプの触媒。酸性側での反応に適し、核還元、水素化脱水等に有効。	核還元、水素化脱水
EB型	5%	塩基性で、表面担持タイプの触媒。多くの反応に使用可能である。特に脱ベンジル化やアルデヒドの水素化に優れる。	脱ベンジル化、アルデヒド、オレフィン、ニトロ
LA型	5%	EAの改良型触媒。弱酸性で、低温・低圧条件下でのニトロ基、オレフィンの水素化反応に有効。	ニトロ、オレフィン
LB型	5%	EBの改良型触媒。弱塩基性で、低温・低圧条件下での、ニトロ基、オレフィンの水素化、脱ベンジル化反応に有効。	ニトロ、オレフィン、脱ベンジル化
F型	10%	触媒中のNa、Ca、Mgの量が非常に少ない高純度タイプの特殊品。副生塩の精製などが必要なプロセスに有効。	核還元、水素化脱水、オレフィン
水酸化Pd	20%	未還元型の触媒で、別名Pearlman触媒。主に脱ベンジル化反応に使用される。還元型のパラジウム炭素に比べ、低温、低圧の条件で水素化が行える例もある。	脱ベンジル化

その他の貴金属担持炭素触媒（Pd/C, Pt/C, Ru/C, Rh/C）

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担持金属	種類	種類	概要	推奨水素化反応例
Pd	B型	5%	ビスマス化合物による被毒処理を施したパラジウム炭素触媒。Pbフリーであるため環境負荷が少なく、リンドラー触媒の代替品として、アルキン→アルケンの選択還元反応等に使用可能。	選択還元 (アルキン→アルケン)
Pt	ー	2%, 5%	汎用型の白金炭素触媒。パラジウム触媒と同様にオレフィン、ニトロ、アルデヒド、ケトン、イミン、オキシム、芳香族の水素化反応等に使用される。パラジウム触媒と異なり、脱ベンジル化反応等のベンジル化合物の水素化分解は起こりにくい。	オレフィン、ニトロ、アルデヒド、ケトン、イミン、オキシム、核還元
Pt	硫黄修飾	3%	有機硫黄化合物による被毒処理を施した白金触媒。脱ハロゲン化を抑制したニトロ基やオレフィンの水素化に有効。	官能基選択的還元 (脱ハロゲン化抑制)
Ru	SD型	5%	芳香族、オレフィン、ケトン、カルボン酸、エステルの還元能力に特徴がある。脂肪族アルデヒドや糖類の水素化に有効。	核還元、カルボン酸、エステル
Rh	K型	5%	ニトロ基やオキシム、オレフィンの水素化反応に有効。その他、ピリジン等のヘテロ環化合物の核還元にも使用できる。	ニトロ、オキシム、オレフィン、芳香族 (ヘテロ環化合物)
Rh	N型	5%	中性〜弱酸性タイプの触媒で、主に芳香族の水素化に使用できる。	芳香族の水素化